元屋敷遺跡の出土品が国指定重要文化財になりました。

 新潟県村上市(朝日地区)の奥三面遺跡群は県営奥三面ダムの建設に伴い、その水没範囲にあった19の遺跡の総称です。
 昭和63年から平成10年まで発掘調査が行われ、その後、平成14年3月まで行われた整理作業により広く活用できるようになりました。
 残念ながら、遺跡はダムの湖底に沈んでしまいましたが、旧石器時代から縄文、弥生、古墳時代の遺物が出土しました。そのなかでも元屋敷遺跡は発掘面積が広く、大量の出土品が見つかりました。
 元屋敷遺跡は大量の出土品から縄文時代の生活を示す貴重な資料として、これまでの縄文時代研究に大いに貢献し、この度、平成27年9月4日に文部科学省より元屋敷遺跡の出土品1,718点が国重要文化財に指定されました。
      
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元屋敷遺跡出土品の国指定概要

 平成27年9月4日に文部科学省より奥三面遺跡群元屋敷遺跡の出土品1,718点が国指定重要文化財となりました。
 重要文化財に指定された出土品は縄文時代後・晩期(約4,000年〜2,300年前)を主とします。
本遺跡は朝日連峰に源を発する三面川上流域の河岸段丘上、標高190〜200mに位置しており、明治時代より周知された遺跡です。朝日村教育委員会として平成3年〜5年、平成8年〜10年に発掘調査が行われ、調査面積は33,000u以上に及びます。
 発掘調査の成果として、竪穴建物23棟、掘立柱建物62棟、配石墓・配石土坑99基、土坑墓65基、埋設土器204基、配石遺構53基、道、水場遺構、流路、盛土等が検出されました。これらの遺構や遺物包含層から縄文時代前葉〜晩期末葉の遺物が大量に出土しました。
国指定重要文化財になった出土品は、完形品を含む土器186点、土偶44点、耳飾り32点、腕輪2点など土器・土製品287点と、磨製石斧187点、石棒・石剣・石刀55点、独鈷石45点、玉239点、有孔石製品25点など石器・石製品1,423点、漆塗木製品残欠2点、骨角器残欠6点の合計1,718点で構成されています。
 選ばれた土器は、縄文時代後期前葉〜晩期末葉まで型式学的な変遷を確認でき、土器の様相から東北地方と北陸地方との関係がうかがえます。また土器の中には、環状注口土器や巻貝形片口土器のように独特で造形的にも素晴らしいものも多いです。
日常的に使用する土器や石器の他に、土偶や石棒類、環状石斧、独鈷石、石冠など非日常的な道具や玉や土製腕輪、耳飾り、竪櫛といった装飾品も多数出土しています。当時の生活を復元する上で、示唆的な資料が充実しています。
 また、磨製石斧の未成品は13,000点を超える量が出土し、大量生産されていました。他地域への搬出流通していたと推定されます。これに対し、ヒスイ製の玉やアスファルト、水銀朱など他地域との交流の結果入手できたと考えられるものも多く出土しています。
 加えて、環状石斧、独鈷石、石冠の製作も行っており、これら北陸地方特有の石器製作や異形石器といったの日本海側の東北地方を中心に認められる出土品があることから、他地域との交流が盛んであり、各地域を繋ぐルートの一拠点であったと考えられています。
 国指定重要文化財となった出土品は、縄文時代後・晩期における他地域との交流品や当時の精神文化、磨製石斧等の石器製作技術を示し、北日本における日本海側と太平洋側とを繋ぐ文化や交易の様相を考える上で、土器、土製品、石器、石製品など縄文時代の遺物で学術的価値が特に高く、きわめて貴重な出土品であると認められたため、指定されました。

 

国指定重要文化財の紹介

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