村上木彫堆朱 (むらかみきぼりついしゅ)は全て木製で、
下地から本漆で塗り上げられています。彫りもすべて手作業であり、塗りもすべて手作業であります。
堆朱の「堆」は、かさねるという意味があるので、木に彫りを施し、朱の漆を塗りかさねていくと いう漆器なのです。 彫りのみぞに流れ込まぬように堅めの漆で仕上げていくので凄く丈夫な漆器であって、 漆器の組み合わせを見ても最高級の材料で仕事をしており、いつまでも長く御愛用いただけます。 艶消しという工程があり、艶消し後、葉の葉脈とかの細かい毛彫りを施し、さらに漆をすり込んで 仕上げますので、使い込むほどに艶が出てきます。 |
新潟県村上市は古い城下町で、村上地方の漆技は今から600年前、京都から寺院建築に来た漆工が
始めたものと伝えられています。 約200年前には、江戸詰めの村上藩士達が余技として彫漆の技を学び、これが村上に広まり今日の 村上堆朱の基になっています。 名工 有 磯 周 斉 は、中国風の図案を 加味して品位の向上を図り、鎌倉彫りの彫法を改良するなどし、 現在の 村上木彫堆朱 へとつながっています。 昭和51年2月には、伝統的工芸品として通産大臣の指定も受けています。 |
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木地に彫刻をし、漆を塗り重ねて仕上げる。 彫刻があるため塗り方が難しく、指頭、又はタンポで塗る。 出来上がりは黒味がかった朱の色だが、年数が経つにつれ、艶が出て輝く朱の色になる。 |
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木彫り堆朱と同様に塗り上げるが、黒漆を使い、黒仕上げで玄人好みと言える。 |
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堆朱塗りの上塗りの後、艶消しを施し、木地呂漆(最高級漆)を塗り仕上げ、全体が濃いチョコレート色をしている。 |
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色漆と色漆の間に金箔を置き、研ぎだして彩漆と金箔の美しさをだしたもの。 |
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木地に色漆 (朱・黄・緑) を塗り重ね、地色を黒色にして彫刻して仕上げる。 |
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漆の乾燥は塗りぶろ (ムロ) に入れて行うわけですが、当店は電熱器などの機械は一切使わず、その日の天気によって自分で湿気を与えたり、上下の上げ下げ、
手前と奥の入れ替えなど全て手作業です。 下は地面に近く湿度も上がり、奥も外気が近いので湿気を呼びやすいからです。 毎日の天気予報のチェックは、かかせないものになっています。 |
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木彫り堆朱の場合 | |||||
木地 木地は「栃」「朴」 |
⇒ | コクソ 継ぎ目や節に生漆・ 小麦粉・木粉を混ぜ た物で塞ぐ |
⇒ | 彫刻 すべて手彫り |
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トクサがけ 彫刻の角を丸くし、 漆をのりやすくする |
⇒ | 木固め (下すり込み) 生漆とベンガラ (酸化鉄)を混ぜて 木のすいせん穴を埋 める為擦り込む |
⇒ | 地塗り 模様部分に下塗りを する |
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錆付 (2回以上) [生漆]と[との粉]を混 ぜ、無地部分に塗る |
⇒ | 錆研ぎ 木の凹凸面を無くす 為、錆を研ぐ |
⇒ | 中塗り 上塗り漆ののりを良 くするため、中塗り 漆を塗る |
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中塗り研ぎ 上塗り漆との密着度を 良くする為、研いで表 面を荒し平らにする |
⇒ | ムラサビ付け 最後の凹凸の修正 |
⇒ | ムラサビ研ぎ ムラサビを研いで修正 |
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上塗り 日本産の上質の 上塗り漆を塗る |
⇒ | 艶消し スミやスミ粉で平らに 研ぎ、ハケで艶を消す |
⇒ | 毛彫り 葉の葉脈のような細 かい彫りを施す |
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上擦り込み 毛彫りした部分や全 体に漆を擦り込む |
⇒ | 完成! (およそ1ヶ月) |