第30回 十五夜月見の会 入選作品 一覧
俳句 兼題「豊年」 選者 三浦公平
<特選>
豊年や「みちのく」行の自由席 荒川完石
<佳作>
豊年や静かに暮れる村十戸 鍋倉静雄
握る手に余る一株豊の秋 鍋倉静雄
賑はしき豊年の村臼の音 佐藤文子
あちこちにコメの自販機豊の秋 橘陽子
豊年や今宵夜風と酒交わす 野口玲子
川柳 兼題「夢」 選者 平山守
<特選>
少年の夢は入道雲を越え 小島薫
<佳作>
夢で会う母は今でも夜なべの背 木村榮子
白地図に身の丈に合う夢描く 伴田寛
夏休み座禅の子等は夢の中 中川久男
夢でいい会いたい吾子は親不孝 渡辺則子
あと一歩夢の續はどうなった 富樫貫
短歌 兼題「ふるさと」 選者 阿部昌彦
<特選>
よう来たと冷えたスイカを皿で出すああ母の髪白くなってる 小島薫
<佳作>
田に出れば一人黙して追肥まく父の孤影が片手を上げる 小島美香
ふるさとが恋しいなどと言うなかれ農も家族も私も捨てて 小野眞智子
わが町の名産ぶどうと誇らしく記して送りぬ都会(まち)のうからの 近藤アキ
南方の地に散り際の日本兵歌ひたるとふ「故郷」哀し 長浜武士
齢と共思い出深きふる里のせせらぎそこに山の四季浮く 工藤チトミ
短歌 兼題「自由詠」 選者 松山勝彦
<特選>
出港のエンジン吹かす音響き禁漁解けし港明けゆく 長浜武士
<佳作>
有難し今ふるさとに高鳴るはミサイルならず除草機の音 小島薫
柿剥きて二十歳の惱み聞きながら話題はいつかウクライナのこと 石栗嘉一
一年を祭のたびに振り返りかわらぬ自分かえない自分 西潟克浩
しとど降る雨に籠りて慢性の使ひ過ぎなる腕をさすりぬ 近藤アキ
白鷺が畦にひらりと着地する蛙の合唱ぴたりと息やむ 小柳正平
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