第4章 伝説のわらべ唄
「ごめん・・・真理ちゃんにお酌してもらったほうが
よっぽどいいよな」
「あたしにお酌してもらおうなんて百年早いわよ!!」
真理は相変わらずの毒舌だが、これ以上釈由美子ちゃんのことを話していたら
もっと機嫌を損ねていただろう・・・
女優の嫉妬というものは恐ろしいものだ・・・
正岡さんの死体をそのままにしておくのもまずいので、
ぼくたちは彼をひとまず、館の物置に運ぶことにした。
死後硬直のせいかやけに重く感じる・・・
まるでニュー超合金Z・・・いや塩ビのかたまりみたいな重さだった。
やっと運び終わった時、ふいに後ろから誰かに肩を叩かれた。
「うわっ!!!!」
「おいたわしや〜!! おいたわしや〜!!
なんまんだぶ〜なんまんだぶ〜」
料理と部屋の準備をしていたキヨさんだ。
キヨさんはこの騒ぎにまったく気づかなかったのだろうか?
今頃現れるなんて・・・
「あんたがた・・・こんなわらべ唄を御存知かねぇ・・?」
そう言うとキヨさんはしわがれた声で、唄い始めた。
♪ 買〜って うれしい 彩色むすめ
だぶ〜って くやしい クリスタルむすめ
あの娘が欲しい
あの娘じゃわからん
この娘が欲しい
この娘じゃわからん
トレードしよう
そうしよう〜♪
「なんやぁ!? やぶからぼうに!! その唄とこの殺人事件がなんか関係あんのかいな!?」
「あ・・それってガチャポンか食玩のフィギュアのことですよね!!
彩色済みの美少女フィギュアが出たら大喜びなんですが、
クリアがダブりまくったら・・・もう悔しくて悔しくて!!
レアだなんて言ってる人もいますけど、完璧にハズレですよ〜アレ!!」
・・・とぼくは困惑の表情で、みんなに話した。
「ハズレなんてことを言ったらいけませぬ!! いけませぬ〜!!
それにクリアではなく、クリスタルですじゃ〜!!
さきほどのわらべ唄は・・・この島で昔から伝わる
少女の人身売買についての歌なんじゃよ・・・」
「な、なんと・・・!! それはネタ的にヤバイがなァ!!」
「彩色むすめ・・というのは色気がある娘・・・
クリスタルむすめというのは、色気がない娘・・
ずいぶん昔のこと・・・この館は売春館として使われておってな・・・
彩色むすめは、よく稼ぐ娘として重宝されたが、
クリスタルむすめは・・・・うっ・・うっ・・うっ・・
その怨念がこの館に取りついておるのかもしれぬ・・・
決してクリアだのハズレだの言わんことじゃ・・・さもないと・・・・」
「さもないと・・・!?」
「クリスタルさまのたたりがあるぞよぉ〜〜〜っ!!!!
きしゃ〜〜〜っ!!!!」
・・・と言うとキヨさんは顎まで裂けた口を大きく開き、
四つんばいとなり、人間とは思えないすばやい動きで
ぼくらの周りを走り回った・・・暴走状態だ。
『あんたの方がよっぽど怖いよ・・・』
ぼくは・・・
A: 「クリスタルだろうがクリアだろうがハズレはハズレなんだよっ!!
メーカーのコスト削減手段なんだから」
B: 「そんな悲しい出来事があったなんて・・・イヤらしい想像をするのをこらえて
寝る前に、供養のため念仏を唱えます」『多少色気がなくとも少女の霊ならOKだよ』
Bを選んだひとは引き続き下へ・・・
「キヨさん・・おなかすいたァ〜〜〜夕食出来たの?」
「ああ、そうじゃったね・・・出来ておりますよ。
みなさま、どうぞ食堂のほうへ・・・」
真理はあんな惨劇のあとに「おなかすいた・・・」だなんて、まったく無神経な・・
いや・・・どんな状態でも食事が取れるというのは
俳優にとっては重要な事かもしれない・・・
常に自分をベストな状態に置き、役を演じきるために・・。
「まあここはひとつ、御馳走を食べてパァ〜〜と忘れましょう」
「そやそや!! 今夜は宴会やぁ〜〜!!」
美樹本さんと香山さんも真理の後に続いた。
食堂・・・
使徒サキエルの和風しょうが焼きステーキ・・・
見た目にかなりの抵抗感はあったが・・・食べてみると意外にも美味っ!!
真ん中の赤いのがゼリーみたいにトロリとろけて・・
『キヨさん・・・一体何処でこんな食材を・・!?』
食材の出どころに疑問をもちながらも
第5章へ続く・・・