一般社団法人いわふね青年会議所2015年度理事長所信
理事長 宮尾 佳明
・はじめに
今年度の一般社団法人いわふね青年会議所(以下いわふねJC)のスローガンを「感謝」とさせていただきました。なぜ「感謝」なのか、何に「感謝」なのか、私は所信を考える上で次の2つのことが思い浮かびました。
いわふねJCは、村上市、岩船郡を活動エリアとして、1967年に「村上青年会議所」として設立されました。設立から現在に至るまで、諸先輩が「明るい豊かな社会」の実現を理想とし、努力と情熱を傾けて様々な活動を行い、この地域の発展にご尽力されてまいりました。だからこそ、現在いわふねJCはこの地域に認められる団体となり活動しています。現役会員は、このことを忘れること無く、このような環境を作っていただいた諸先輩に感謝すると共に、常に向上心を持ち、理想実現のため活動しなければいけません。
また、我々はこの地域の豊かな自然、家族や地域の皆様に幼少より暖かく見守られ、時に厳しく育てていただき、現在もこの地域で暮らしています。そして、青年会議所活動を行う上においても、この地域の皆様に様々なご支援、ご協力をいただいております。そのことに感謝すると共に、これから先もいわふねJCはこの地域から必要とされる団体であり続けなければいけません。
以上2つの感謝の気持ちを胸に、この地域が今以上に明るい豊かな地域となるよう、今年度我々の青年会議所活動を進めて参ります。
・青年経済人として
青年会議所は「明るい豊かな社会」の実現にむけて活動している団体であり、我々はJAYCEEとしてこの実現に向けて日々活動しています。その一方、我々はこの地域の経済を担っている青年経済人でもあり、経済活動による地域貢献も大切なことです。
また、ほとんどの会員は、それぞれの所属企業から会費を出していただき、時には働く時間を割いて青年会議所活動に費やすことを許していただいています。経済環境が厳しい現代において、企業の負担を考えると大変ありがたい事です。所属企業へ感謝すると共に、青年会議所活動で学んだことを還元し、企業の成長に貢献しなければいけません。
いわふねJCは、様々な職種や業種、考え方や価値観の異なる有能な仲間が集っている団体です。20歳以上40歳未満の青年経済人として大切な成長期に、このような団体に属していること自体が、それぞれを成長させる為の大きな機会ではありますが、更に会員一人ひとりが経済人として能力の向上に取り組み、成長しましょう。
・大人として
現代の子どもたちには、他者への思いやりの心や迷惑をかけないという気持ち、生命尊重・人権尊重の心、正義感や遵法精神の低下が指摘されています。政府の教育再生実行会議の第1次提言(2013年2月)において道徳教育やいじめ問題に触れられているほど、重要視されている問題です。子どもたちが豊かな人間性を育むためには、子どもの持つ力、成長する力を信じましょう。そして、子ども同士で体験し、お互いを大切にすること、感謝の気持ちを持つことを学べる機会を作りましょう。
また、この地域は豊かな自然に囲まれています。自然とは、人為によってではなく、古来より自ずから存在しているものです。まさしく古来より我々の先祖はこの自然に畏敬の念を持って接し、その恵みに感謝し共生してきました。しかし、その自然も時には人命を奪う恐ろしい存在となります。毎年のように全国各地で自然災害が発生し、山や海での不幸な事故は後を絶ちません。我々は未来を担う子どもたちに、自然の大切さ、素晴らしさを伝えるとともに、その怖さや対応する力も同じように伝えなければいけません。
・地域のために
日本における総人口はピークの2008年の1億2808万4千人から年々減少し続けており、少子高齢化対策は日本の重要な課題となっています。
この地域ではどうでしょうか。厚生労働省「日本の地域別将来推計人口(2013年3月推計)」によると、この地域では2040年には44,860人(村上市:41,073人、関川村:3,607人、粟島浦村:180人)と、2015年と比較して約66%まで人口は減少してしまいます。このような状況は、消費減少や労働力人口の減少などによる経済の縮小、社会インフラ、 生活基盤の崩壊による地域の利便性の低下などこの地域で暮らす我々にとって致命的な問題となります。この結果を受け、村上市において2014年3月に村上市人口減少問題対策として「チャレンジプラン」が策定されました。また、関川村ではふるさと納税制度を利用し「関川村ふるさと応援基金条例」をつくり、寄附金を人口減少抑制政策に関する事業に当てています。粟島浦村では近年他地域から小中学生を受け入れる「しおかぜ留学」を実施し、島の活性化を図っています。
このように国やこの地域の自治体ではこの問題を重要課題として取り組んでいます。「明るい豊かな社会」の実現を目指すいわふねJCにとって、またこの地域で経済活動をしている我々にとってこの問題は見過ごすことはできません。この地域の現状を把握し我々はどのように対応していくべきなのか、出来る事を考え、出来る事から始めていかなければいけません。
・感謝の気持ち
我々はこの地域で生まれ、育ち、そして現在経済人として生活しています。当たり前の事ですが、決して一人では生きて来ることはできませんでした。我々はこの地域で暮らしていくうえで、様々な人と繋がりあっています。これからも人との繋がりによって助け合いながら生きていくのです。そのことに対し感謝をしなければいけません。この地域に暮らす人々、一人ひとりがその繋がりに感謝の気持ちを持ち、そして、その気持ちを伝えることにより、お互いに認め、尊重する事ができるのです。
しかし、場合によっては感謝を伝えることは難しく、またしてもらって当たり前という気持ちをどこかに持っていることもあるのではないでしょうか。
感謝が溢れることはこの地域の「明るい豊かな社会」に繋がります。初めは我々少数からの発信かもしれません。しかし、そのきっかけを作ることが大切です。我々が率先して行動し、この地域に感謝の心が溢れた時、より良い地域になると確信しています。
・結びに
青年会議所は、毎年役職が変わる単年度制の組織であり、年齢制限がある組織でもあります。毎年様々な立場から物を見る目や考え方を養い、学ぶことができます。これが、青年会議所という組織の素晴らしさです。
そして、20歳以上40歳未満の家庭・仕事・JCと年を重ねる毎に責任が重くなるこの濃密な年代だからこそ、多くのことに気づき学ぶことができます。そして、苦楽を共にするからこそ、会員間の友情を育み、一生の友を得ることができるのです。この年代の苦楽が、必ず今後の人生の礎となり、その人の人間力となります。様々な困難や課題から目を背けたりせず、しっかりと目標を持って、積極果敢に挑戦しましょう。
この同じ時期に同じ時間を共有できる縁に感謝し、この地域の「明るい豊かな社会」の実現に向け強い想いを持って行動しましょう。 |