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島田 哲也 外科医長

「広報せきかわ」2016年9月号より

腸閉塞症

 腸閉塞症という病気を聞いたことがあるでしょうか。専門用語でイレウスとも言われます。腸閉塞症とはその名の通り腸管が閉塞し、食べたものが通過しない病気です。通常口から食べたものは、食道を通り、胃で消化を受けた後、小腸でさらに消化、吸収が行われ、大腸で残った水分が吸収され、残りが便として排泄されます。この過程の内、小腸あるいは大腸に閉塞が起こると、食べたものや消化液が停滞し、腹部膨満、腹痛、嘔吐といった症状を引き起こします。閉塞の原因は様々ですが、開腹手術後の癒着によるものが半数以上を占めています。何十年も前に開腹手術を受けたことがあり、それまでなんともなくとも、ある日突然腸閉塞症となることもありますので、開腹手術を受けたことがある方は要注意です。近年、当科でも積極的に行っている、腹腔鏡手術が普及するようになり、今後は開腹手術後の癒着による腸閉塞症は減少するのではないかと期待されています。腸閉塞症の治療は閉塞の原因によって異なりますが、減圧が基本です。イレウス管というチューブを鼻から入れ、腸の中に溜まった食物残渣や消化液を抜き、腸管の減圧を行います。腸管の減圧がなされると、狭くなっている腸管の浮腫みなどがとれ、開通することが期待できます。イレウス管を使った造営検査により、減圧だけで治るものであるか、手術加療が必要であるかの判断もできます。減圧により改善しない場合は、手術により癒着を剥離したり、狭くなった腸を切除したりすることもあります。また、腸管が捻じれるなど、血流障害を伴う場合は、そのままにしておくと腸管が腐ってしまいますので、緊急手術が必要となることもあります。

 腹痛、嘔吐といった症状はいわゆる食あたりでも起こりますが、その場合閉塞はしていないため、通常排便を認め、多くは下痢を伴います。便が出ず、腹部膨満、腹痛、嘔吐等の症状がある場合は腸閉塞症の可能性もあるため、かかりつけのお医者さんに相談してみてください。ただの便秘である場合も多いので心配しすぎる必要はありませんが、特に開腹手術を受けたことがある場合は、早めの相談をお勧めします。