リハビリテーション技師長 水越裕之
「広報せきかわ」2016年7月号より
「作業療法のすすめ」
「作業療法」を知っていますか?
日本作業療法士協会会長の中村春基氏が「ひとは作業をすることで元気になれる!」という通り「作業療法」は心や体に良い効果を与える「作業」を用いたリハビリテーションの一つです。坂町病院にも理学療法士、言語聴覚士と一緒に3人の作業療法士が働いています。
作業は人が持つ多くの機能を使います。例えば畑作業をすると、物を運んだり鍬を振ることで体を使い、日数を数えたり仕事の手順を考えたり予定を立てたりと、記憶や思考力もたくさん使います。また汗を流して太陽に当たり、立派にできた作物に目を細めることは体の調節機能や骨にも良い影響があるし、喜びや達成感は心の健康に抜群の効果があります。苗や作物のやり取りなどの交流は社会のコミュニティも育てます。
私たちは様々な作業を人と人とが織りなす人間模様である「社会」の中でしていて、感謝されたり褒められたり、時には少しもめたりしながら一人一人が目を輝かせて生活をしています。そこにはその人らしさや役割があり、料理をすることも、スポーツやカラオケなども町内会の役員や回覧板を回すことも同じように多くの機能を維持することに役立っています。広い意味では散歩や昼寝も心の醸成を促し、体を積極的に休める効果的な作業といえます。
作業療法は体の機能だけでなく考える力や心の元気などにも広く緩やかに相乗的に効果をもたらし比較的長く効果が持続するのも特徴なのです。
今、日本は超高齢化に向かっていますが、皆さんが長く健康でいられるように作業療法をお勧めします。
7割くらいの頑張りでできそうな興味ある楽しい作業を、無理せず気長に続ける事で元気を維持していきましょう。
ただし、薬物療法や手術療法、運動療法など必要な治療はきちんと継続しながら「やりすぎ」による疲労や熱い時期の脱水などの副作用にも気を付けて。年をとって億劫になっても、病気やけがのあとも、無理せず緩やかにできる「作業」で生きがいと楽しみを持ち続けて下さい。
今日からあなた自身が自分の専属作業療法士です。「体力維持の為に昔やった釣りをしてみようかな?指先の細かい作業や頭も使うぞ!熱い時期は副作用に注意だな!夕方涼しいときに1時間だな!一人は無理。誰かとなら楽しい。ザコでもあのビクビクがたまらないんだ。」という具合に考えられたら素晴らしいと思います。