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内科 五十嵐 仁

「広報せきかわ」2016年1月号より

県北の透析医療が危ない

 腎臓が悪くなり腎不全となったら、透析という治療法があることはご存知だと思います。透析が必要になる原因の第一位は、昔は慢性糸球体腎炎という腎臓病でした。この腎臓病に対する医療は進歩し、透析に至る人は年々減っています。代わりに最近増えてきて、現在の原因第一位は、糖尿病をこじらせて腎臓を悪くした人たちです。糖尿病性腎症と言います。高血圧をこじらせて腎臓を悪くした人、酒を飲み過ぎて肝臓を悪くしてそのために腎臓も悪くる人も増えています。

 腎臓が悪くなっても透析を受ければ大丈夫、などと気楽に考えてはいませんか。実は最近、血液透析患者さんが増えすぎて、地元での透析を受けられなくなりつつあります。「地元」というのは、坂町病院を含む村上市内のことです。受けられなくなったらどうなるでしょうか。

 実は、透析には2種類あります。一つが、血管に針を刺し器械でよけいな水分やからだにたまった毒を取り除く血液透析です。これは基本的に透析施設のある医療機関に通って受けてもらうものです。週3回、1日おきに通院が必要です。盆暮れ正月を問わずに通います。医療は施設任せですが、通う手間と膨大な時間が消費されます。

 もう一つが、おなかの中に透析用の水を入れてしばらくためておき、その中に取り除きたいよけいな水と毒を溶かし込み、時間が経ったら排液する腹膜透析です。液を出し入れするチューブをおなかに取り付けておき、必要に応じ透析用の液の入ったバッグと接合して治療します。材料は宅配便で送られてくるので、いちいち病院に通う必要はありませんが、日頃の管理はすべて自分の責任でしなければなりません。

 血液透析を受ける事の出来る患者さんの数は、透析を行なう器械の数で制限されます。そして最近は先にも書いた通り、血液透析の患者さんが増えて地元で行える患者さんの上限数に達しようとしています。これ以上治療は受けつけられないので、今後新たに透析を必要とする人は腹膜透析を選ばざるをえません。もしくは新発田以南の施設にまで通わなければならなくなります。片道30分以上かけて通院しなければならなくなります。

 いずれにしろ透析という治療を不要な状態でいることが重要です。そのためには、糖尿病、高血圧、肝臓障害を悪くしないことです。日頃から生活習慣病にならないように、悪くしないように、生活に気をつけて下さい。