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小児科部長 石塚 利江

「広報せきかわ」2015年12月号より

呼吸器感染症診断(迅速診断キット)

 小児の外来診療の多くは急性感染症です。ほとんどは気道感染症、ついで腸管感染症です。優れた抗原迅速診断キットの出現により、かなりの気道感染症は外来診療の場で診断できるようになりました。良い点は陽性になった場合

①治療方針が決定しやすく、不要な採血や抗生剤投与を避けることができます。
②診断後治療薬があるかどうかがわかり、臨床経過の予測もできます。
③感染力の強い病気に対しては感染防止や隔離が出来ます。
欠点は調べられる検査は何でもして欲しいという「検査のための受診」が増えている事です。

「検査ができるからする」というのではなく、それぞれの感染症の病歴・症状・診察所見を熟知して迅速検査キットを選択することが大切です。

  検査陽性なら感染症であるという事では必ずしもありません。尿中肺炎球菌抗原は適切な治療が行われた後でも数週~数か月にわたって陽性が続く事があります。A群溶連菌でも咽頭に無症候性に常在(保菌)することが小児の約10%にあります。陰性だから感染症でないという事でもありません。インフルエンザでは発症後の検査のタイミングが大切です。肺炎マイコプラズマ迅速検査キットでもある程度咳が強くなって下気道(気管支や肺)分泌物が咽頭に付着する状態にならなければ陽性にはなりません。検査する時期が大切ということです。

   個々の検査は医療保険の適応が病気の特徴から決められています。気道感染症で検出できる抗原迅速検査にはRSウイルス・ヒトメタニューモウイルス・インフルエンザ・肺炎マイコプラズマ・A群レンサ球菌・肺炎球菌・アデノウイルスがあります。RSは①1歳未満の外来児②入院例③パリビズマブの適応の外来児のいずれかです。ヒトメタニューモウイルスは6歳未満でかつレントゲンで肺炎が強く疑われる場合です。インフルエンザは発熱後48時間以内に1回のみです。

  病歴や診察所見と合わない場合には陽性の結果のみを丸呑みしてはいけません。