鈴木 薫 院長
「広報せきかわ」2014年7月号より
脳梗塞を防ぐお薬の話
田中角栄、長嶋茂雄の共通点は何でしょうか?脳梗塞で引退した事です。脳梗塞は脳の血管が詰まって、脳細胞が死んでしまう病気です。脳の細胞が死んでしまう為、麻痺などの後遺症が残る事が多いです。その為、脳梗塞にならない事が最も大事です。
脳梗塞は2つのタイプがあります。一つは脳の血管に動脈硬化が起こり、その血管が詰まってしまうタイプです。この場合は血圧を下げる、コレステロールを下げる、糖尿病の数値を良くするなど動脈硬化を予防する以外に脳梗塞を防ぐ方法はありません。
もう一つは心臓にできた血の塊(血栓)が心臓から流れ出て、脳の血管に詰まるタイプです。このタイプの脳梗塞になる人の大部分は「心房細動」と言う脈の乱れがあります。
心房細動の人は普通の人の何倍も脳梗塞になりやすいと言われています。一方、抗凝固薬(血栓を予防する薬)を飲めば、脳梗塞になる人が60%以上減ると言われています。心房細動の人の場合、お薬で脳梗塞を予防する事が出来る訳です。
抗凝固薬は元々ワーファリンしかありませんでした。「納豆や蕨を食べると駄目な薬」、
「毎回採血をしないとならない薬」として飲んでいる人も多いと思います。この薬は昔からあり、その効果は折り紙付きです。
一方、食事の影響を強く受ける為、納豆や蕨、青汁、クロレラ等駄目な食べ物が多くあります。「痛み止め」で効果が出すぎて、「整形外科の薬を飲んだら血が出やすくなった。」と言う人も結構います。また、調度良い量が人により違う為、調度良い量が決まるまでは、何回も採血をしなければなりません。その後も検査をして量の調整をします。また、この薬は脳出血等の副作用や量の調整が難しい等で出し難い患者さんも大勢います。
効果はワーファリン以上にあり、副作用は少ない。何を食べても良くて、採血もそんなにしなくて良い。と言う薬が出てきています。最近はその薬を飲んでいる人も増えてきています。ただ、腎臓の悪い人は飲めません。また新しい薬なので、ワーファリンより高くなります。興味のある人は「納豆を食べられる脳梗塞予防の薬」と主治医に相談して下さい。
脳梗塞は本人も家族も大変な病気なので、シッカリ予防しましょう。心房細動と言われた人は、必ず医者に脳梗塞予防について確認して下さい。
元気な老後の為に、遠慮は不要です。