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小児科部長 今田 研生

「広報せきかわ」2015年2月号より

ヒトメタニューモウイルスについて

 皆さんはヒトメタニューモウイルス(以下hMPV)をご存知でしょうか?このウイルスは気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症の原因の一つとなるウイルスで、乳幼児で流行することが多いのですが、大人にも感染します。呼吸器感染症のうち小児では5~10%、大人では2~4%がこのhMPVが原因となると言われています。乳幼児や高齢者では重症化することもあり、特に注意が必要です。1年ほど前から条件を満たせば一般病院の外来でも鼻咽頭を綿棒でこすって検体を取り、hMPVの迅速診断ができるようになりました。

 hMPV感染症の主な症状は咳、鼻水、発熱などのいわゆる風邪症状です。肺炎や細気管支炎へと悪化するとゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴や呼吸困難の症状が加わります。平均的な経過では潜伏期4~6日の後に発症し、咳は1週間程度、発熱は4~5日続き、増悪すると喘鳴が数週間遷延することもあります。

 同じような経過をとるウイルスとして有名なものにRSウイルスがあります。遺伝的にもhMPVとは近いウイルスで、1回の感染では終生免疫ができず、何回か感染を繰り返して年齢が高くなると徐々に免疫がついてきて症状が軽くなる傾向があることなどが似ています。hMPVの流行は3月から6月に多く見られます。RSウイルスの流行のピークは冬の12月から2月ごろですから、例年RSウイルスの流行のあとにhMPVが流行することが多くなります。春先から梅雨の時期は特に保育園や小学校でのhMPVの流行に要注意です。

 治療法は他のウイルス感染症と同様に特効薬はなく、各々の症状を和らげる対症療法が基本です。治療薬として鎮咳剤や去痰剤、解熱剤などを処方しますが、ご家庭では安静、保温、水分補給などに努めてください。但し、細菌感染を合併して重症化した場合は発熱が5日以上続くこともあり、とくに中耳炎や細菌性の肺炎などが合併した場合は抗生物質の投与が必要になりますので、受診が遅れないようにしましょう。

 hMPVの感染は咳やくしゃみで体外へ吐き出されたウイルスを吸い込む飛沫感染やウイルスの付着した部位に触れる接触感染で広がりますので、インフルエンザの流行期と同様にうがい、手洗い、マスク着用などで予防を心がけてください。