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五十嵐 仁  内科 部長

「広報せきかわ」2014年12月号より

健康的に長生きしよう(健康寿命の話)

 日本人の平均寿命は世界一です。しかし長生きしたとしても寝たきりでは面白くないですね。健康寿命とは「日常的に介護を必要とせず、自立した生活ができる期間」と定義され、最近注目されている視点です。寝たきりの原因の8割は、脳血管疾患、認知症、高齢による衰弱、骨折・転倒です。脳血管、認知、骨折については予防対策があります。大事な点を知り、いつまでも幸せな生活を遅れるようにしましょう。

 脳血管疾患のなかでも重大な後遺症を残すのが心原性脳塞栓です。これは心臓の中の壁に血の塊ができ、大きくなった所ではがれて血流に乗り脳血管を詰まらせてしまう病気です。太い血管を詰まらせるため、脳障害も重大です。元巨人軍監督の長嶋茂雄さん、元首相の田中角栄さんや小渕恵三さんなどのように、人生が180度変わってしまいます。この病気は「心房細動」という心臓のリズムが乱れる病気を持っている人に起きます。心房細動があったら、抗血栓薬という血をサラサラにする薬を飲み続けることで、脳塞栓症の危険を大幅に減らすことができます。脳血管の予防は「脈が乱れていたら薬を飲むこと」と覚えて下さい。

 認知症予防に有効と言われるのは、社会への参加と運動です。残念ながら認知症を予防する薬はまだ開発されていません。本を読む、文章を書く、編み物をするといった、一人で行う知的活動や生産活動などもいいのですが、特定の行動だけを繰り返していると認知症の予防効果は低下すると言われています。一方、集団での知的活動や生産活動を行うと、認知症の予防の効果が続くとされています。笑うことも大事です。「仲間と会って、話して、笑って過ごす」を習慣にしましょう。

 最後に骨折です。年をとり骨が折れる代表的な病気が骨粗鬆症(こつそしょうしょう)です。骨粗鬆症は、骨の量が減り、骨の構造がすかすかになる状態です。健診を受けて、若い頃よりも身長が4cm以上低くなった、最近の身長よりも2cm以上低くなった、などがあれば、骨粗鬆症による背骨(椎体)の骨折が疑われ、薬物治療の対象になります。進行を抑えるには運動が重要です。骨に適度な負担をかけるような運動が有効で、ジョギング、ウォーキング、背伸び、片足立ち、足上げなどがあります。この他にも、家事でこまめに動く、買い物で歩く、なども有効です。とにかく体を動かしましょう。