姉﨑 一弥 内科 消化器
「広報せきかわ」2014年9月号より
胆石症
胆石とは、肝臓で作られる胆汁という物質の排泄路にあたる胆管や胆嚢のなかで、胆汁成分が固まってできた固形物のことです。これによって生じる病的な症状を胆石症といいます。胆石症は胆石のできた場所により「胆嚢結石症」、「総胆管結石症」、「肝内胆石症」に分類されます。胆石は胆嚢に一番多いので、一般に胆石症といえば「胆嚢結石症」をさします。
胆石症の動向については詳しい疫学調査が行われておらず最新の詳細は不明ですが、近年増加していると推察されます。代表的な胆石はコレステロール結石と色素結石に分類されますが、コレステロール結石は胆嚢に、色素結石は胆管に多くみられます。また、コレステロール結石は白っぽくて非常に硬く、色素結石は茶色っぽくてやや硬いという特徴があります。
胆石の代表的な症状は腹痛です。この腹痛は「胆石発作」とよばれ、とくに脂肪に富んだ食事をしたあとにしばしばおこります。通常痛みの部位は、みぞおちから右の上腹部ですが、背中や右肩が痛くなることもあります。痛みの強さは、我慢できないくらいの強い痛みのこともあれば、ズーンと重い感じがするだけの軽いこともあります。自然に数時間でスーっと治まってしまうことがあるのも胆石発作の特徴です。胆嚢は右の上腹部にありますが、痛むところはみぞおちなので、胃が悪いと思ってしまう人が多いようです。胃が悪いのだと思っていたところ、検査したら実は胆石だったということがよくあります。
胆石のその他の症状としては悪心(気持ち悪いこと)、嘔吐(吐くこと)があります。しかし、これらの症状は他のお腹の病気でも出現する症状で、胆石に特有のものではありません。胆石があると胆嚢炎をおこすことがありますが、腹痛、高熱、黄疸(体が黄色くなること)がそろった時には急性胆管炎を併発していることが疑われます。急性胆管炎をおこすと敗血症(細菌が体中に回ること)の状態となり、ショックや意識障害に陥り大変に危険な状態なので緊急に治療を行う必要があります。しかし、胆石があるからといって、かならず症状が出るとは限りません。正確な数値はわかりませんが、胆石を持っている人の約半数に腹痛があるものの、半数には症状がないとされています。
胆石による症状がある場合にはなんらかの治療が必要ですが、現在症状がなくても将来的に痛みをおこす危険性が高い場合もあるため医師と相談することが重要です。