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浅野 良三  診療部長

「広報せきかわ」2014年7月号より

睡眠時無呼吸症候群について

 睡眠時無呼吸症候群(SAS)のことが比較的知られるようになった現在でも、SASが関与したとされる交通事故は後を絶ちません。それは、自分の症状がSASであるということに気づかず、適切な検査や治療に至っていない人がまだ多いということでもあります。

 SASが関与した事故としては、2003年の山陽新幹線の列車緊急停止事故が有名です。

 2012年の群馬県藤岡市の関越自動車道で起きた高速ツアーバスの事故を記憶されている方も多いでしょう。バスが高速道路脇の壁に衝突し、乗客7名が死亡、38名が重軽傷を負った大事故です。

 本来、睡眠は日中活動した脳と身体を十分に休息させるためのものです。その最中に呼吸停止が繰り返されることで、身体の中の酸素が減っていきます。すると、その酸素不足を補おうと、身体は心拍数を上げます。寝ている本人は気付いていなくても、寝ている間に脳や身体には大きな負担がかかっているわけです。脳も身体も断続的に覚醒した状態になるので、これでは休息どころではありません。

 その結果、強い眠気や倦怠感、集中力低下などが引き起こされ、日中の様々な活動に影響が生じてきます。

 症状には、睡眠中に「いびきをかく」「息が止まる」「呼吸が乱れる」「息が苦しくて目が覚める」などがあります。また日中は「しばしば居眠りをする」「記憶力や集中力が低下する」「体を動かすときに息切れする」などがあります。

 検査には専門施設で入院検査もありますが、自宅での簡易検査もあります。症状がある方は、早めに医療機関を受診していただきたいと思います。