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石塚 利江 医師

「広報せきかわ」2013年9月号より

鼻みず・鼻づまりへの対応

 鼻づまりは薬物では治りません。鼻みず合併時には鼻吸引が最も有効です。

 鼻みず・鼻づまりは、こどもにとってはしばしば見られる症状ですが、特に生後3ケ月までは、鼻呼吸が主で口呼吸はできないので、鼻づまりだけでも呼吸困難になることもあります。

 鼻みずは自律神経にコントロールされているので,お風呂に入って温まると少なくなりますし、夜寝る時は副交感神経が優位になって多くなります。

【治療法】

①物理的に鼻みずを除去する
 これはお家でできます。市販されている種々の吸引装置を用いて吸い取ります。
 重曹5g・食塩20g・蒸留水500mlで作成した食塩水を点鼻して流して、その後にできる限り吸引する方法(鼻洗浄)は有効です。後者をすすめる先生が多いと思います。

②薬物を用いて減らす
 抗ヒスタミン薬が鼻みずを減らすとして処方される先生もいますが、改善は乏しいと報告されています。痙攣を起こしやすくする、分泌物が粘ちょうになり、中耳炎や痰の切れも遅くなるので症状が長引く等の副作用があります。乳幼児にはきわめて慎重でありたい薬です。
 鼻づまり用の点鼻薬(血管収縮剤)についても痙攣・呼吸抑制・心臓への副作用があり乳幼児ではやはり慎重さが必要です。
 鼻水が色づくのは細菌感染ではありません。ですから抗生剤は必要最低限にしか処方されません。
 安全性を優先した治療を選びましょう。

 2歳以下の子供で、反復して中耳炎を起こすなら、お家での予防・対処法はなんと言っても、鼻を清潔に保つことです。先に述べた鼻洗浄を朝晩1回ずつすると、反復する中耳炎の予防にもつながります。