加藤 つくし 菅理栄養士
「広報せきかわ」2013年1月号より
いつまでもおいしく食べるために
最近、うまく噛めない、噛んでもばらばらして飲み込みづらい、いつまでも口の中に食べ物が残っている、食事がおいしくない、などと感じている方はいらっしゃいませんか?また、周りに食事を食べなくなった、いつまでも飲み込まない、食事中や食後にむせる、咳き込む、声がかすれる、などの症状のある方はいらっしゃいませんか?それらは、食べる力が弱ったことによる症状です。
高齢者は、筋肉の低下、唾液の分泌の減少、歯の欠落、歯肉がやせてくる、等の原因で飲み込みが悪くなったり、よく噛めなくなったり、食べる力が低下しやすくなります。また、味蕾の減少により味覚が低下し、ご飯がおいしく感じなくなったり、濃い味を好むようになります。その結果、食事量が低下し、栄養不足や脱水などを起こしやすくなり、さらに食べる力が低下して栄養不足になり、病気になりやすくなります。
そのような悪循環を防ぐため、早期から食事に注意する必要があります。
よく噛めない時は、軟らかいものを小さく切る、隠し包丁をいれる、つぶす、すりおろす等の工夫で食べやすくなります。飲み込みが悪い時は、軟らかく調理し、とろみをつけてまとまりをよくする、少量ずつゆっくり食べる、などで食べやすくなります。
飲み込みづらい食べ物としては、水状のさらさらしたもの、逆に水気がないぱさぱさしたパンや凍り豆腐のようなもの、繊維の多い筍やこんにゃくなど、口腔内にへばりつくわかめや海苔などがあります。また酸味の強いものはむせの原因になります。
そんな状態で、軟らかいもの、食べやすいものばかり食べていると知らず知らずのうちに偏りがでて、栄養状態が悪くなり病気になりやすくなることがあります。お粥とみそ汁と梅干だけで済ます、プリンやゼリーのようなものばかり食べている。そんなことのないように調理の工夫で食べやすくして、そのなかで主食、主菜(肉、魚、卵、大豆製品等たんぱく質)副菜(野菜等のビタミン、ミネラル、食物繊維)に乳製品を加えてバランスよく食べるよう心がけましょう。食べた後は、口の中をきれいにすることも大事です。
早い時期であれば、訓練で回復することもあります。
おかしいな、と思ったら、病院や歯科医院へ行き、医師、栄養士、リハビリスタッフ等にご相談ください。
早い時期から気をつけて、最後まで元気でおいしく口から食べましょう。