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影向 晃 医師

「広報せきかわ」2012年10月号より

息切れと肺年齢

 階段や坂道を登るときに息苦しく感じることはありませんか?

 息切れの原因は、肺や心臓、神経、血液などの病気や衰えが考えられますが、特に中高年や高齢の方に多いのが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)という病態です。肺気腫とか慢性気管支炎とも言われます。喫煙などを原因としてゆっくり肺が壊れていく(老化する)病気で、患者さんの数は増え続けています。40歳以上の全人口のうち8.6%、日本全国で約530万人もの方が該当すると推定されていますが、実際にはまだ22万人程度しか治療を受けていないというのが現状です。

 さて、「肺年齢」という言葉を聞いたことがありますでしょうか? 自分の肺の健康状態が同年代の人と比べてどの程度か、簡単な検査(スパイロメトリー)などで調べることができます。呼吸の機能は誰でも20歳代をピークに加齢とともに低下しますが、長期間にわたる喫煙は呼吸機能の低下を急速に早めていきます。禁煙して適切な治療を受ければ、病気の進行を遅らせて、息切れなどの症状を楽にする(肺年齢を少し若返らせる)ことができます。適度な栄養や運動も呼吸筋などを鍛えられて効果的ですし、専門家のアドバイスによる呼吸リハビリなどもあります。

 実は、初期のCOPDは自覚症状がほとんどありません。したがって喫煙歴の長い方はすでにCOPDになっているかも知れません。また咳、痰、労働時の息切れなどの症状が出てきた中高年の方は、COPDの可能性が高くなります。

 息切れを「もう年だから仕方ない」とあきらめないで、まずは一度、“肺の健康を知るヒント”として自身の肺年齢を知ってみて、肺をなるべく若く保っていくことをおすすめします。

 当院では主に毎週月曜日午前中に、COPDの疑いや喘息などを含め、息切れや呼吸器症状のある患者さんに対する新患外来を開いていますので、ぜひお気軽に、当院内科外来までご相談下さい。