田島陽介 医師
「広報せきかわ」2012年6月号より
「大便」で健康チェック
皆さんは、自分の大便(ウンチ)をよく見たことがありますか?臭いし汚いから、見もせずすぐに流してしまう方も多いかと思います。しかし、大便は時に皆さんのカラダの異常をいち早く知らせてくれます。観察すべき点は色々ありますが、今回は大便の「色」についてご説明します。
大便は黄土色から茶色のことが多く、これは大便中に含まれる「胆汁」の色です。胆汁は肝臓で作られた後に腸に流れ込み、食べ物の消化を助けます。肝臓の働きが弱くなったり胆汁の流れが悪くなったりすると、大便に胆汁が混ざりません。すると、大便の色が白くなることがあります。
大便が赤い場合、大腸からの出血があるのかもしれません。赤い血が大便に混じると、大便自体も赤くなります。出血の原因としては、大腸にデキモノができたり(がんや良性のポリープなど)、大腸の壁が傷んだり(憩室や虚血性腸炎など)することが挙げられます。切れ痔やいぼ痔からの出血は、大便自体が赤いのではなく、大便の表面に鮮やかな血が付いているという感じに見えます。
大便が黒い場合、胃や十二指腸からの出血の可能性があります。胃や十二指腸で食べ物と混ざった血は、胃酸という消化液によって黒く変色します。そのため、大便も赤くならず黒くなります。胃や十二指腸からの出血の原因としては、デキモノができたり(がんや良性のポリープなど)、潰瘍(深いえぐれ)ができたりすることが挙げられます。一方、鉄剤を飲んだり、肉・魚をたくさん食べたりした時にも大便が黒くなることがあります。
以上、大便の「色」についてご説明しました。他にも「硬さ」「形(とくに太さ)」「匂い」「回数」など、大便からは様々な情報が得られます。それらの情報から病気が見つかることも少なくありません。ぜひ、流す前に自分の大便を眺めてみて下さい。そして、異常と感じたらお早目に医療機関を受診して下さい。