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新井亜希 医師

「広報せきかわ」2012年4月号より

神経内科受診ガイド

 神経内科外来には多くの方が受診を希望して来院されます。けれども、受診される方の望むことと神経内科がお手伝いできることが一致せず、お叱りを受けてしまうことがございます。今回は改めて神経内科のご案内をいたします。

 神経内科は「脳、脊髄、末梢神経、神経筋接合部、筋肉」といった体の部品に不具合が起きて発症する病気が専門です。いわゆる心の病気は専門外です。精神科、神経科、心療内科とは全く違う科です。脳の神経細胞が傷ついて動きの制御がうまくできなくなるパーキンソン病などが代表的な得意分野です。神経内科の病気は、「確かに病気はあるのに一般的な血液検査やCT検査、MRI検査では見つけにくい」ことも多く、神経内科医は診察の中から様々な情報を集め、正しい診断にたどりつく努力をします。

 まず、「いつから、どのように、どのような症状が生じてきたのか」、「その症状は段々と良くなっているのか、悪くなっているのか、変わらないのか」、「これまでにどのような病気にかかったことがあるのか」、「どのような薬を内服しているのか」といったお話を伺って解決の糸口を探します。これが基本中の基本です。「そんなことより早く診察して治せ!」とお叱りを受けることが多いのですが、とても重要な過程です。治療中の病気をお持ちの方は主治医の紹介状やお薬手帳を持参されると大変役立ちます。次に一般的な内科的診察を行い、さらに「神経学的診察」を行います。この「神経学的診察」は非常に重要な診察であり、通常の検査では見つけることができない「脳、脊髄、末梢神経、神経筋接合部、筋肉の不具合」を見つけるためには最も重要です。ここでも「具合の悪いところを早く診察しろ!」と短気を起こされる方が多いのですが、全身を診察させて頂くことが鉄則です。

 「問診から見つけた解決の糸口」と「診察結果から推測された不具合の内容」を考えて、必要な検査を適切な内容で行うように準備します。このような過程を経て初めて正しい診断にたどりつき、適切な治療が始められるということになります。こういった診察を通して、一般的な検査だけでは見つからなかった内科、整形外科、脳神経外科などの病気が見つかり、各々の科に紹介させて頂くことも珍しいことではありません。

 手間のかかる診察ではありますが、ご協力頂きますようお願い申し上げます。