本文へジャンプ

浅野 良三 医師

「広報せきかわ」2012年3月号より

肺炎と肺炎球菌ワクチン

 日本では、年間約11万人が肺炎で亡くなり、死因の第4位です。

 高齢者が増えたことや抗生物質が効きにくい菌の出現が、肺炎患者が増えている原因です。若い人は罹患しても命の危険はまずありませんが、65才以上の高齢者は命に関わる場合があります。風邪やインフルエンザに罹患した時に、細菌やウイルスが気管支や肺胞で繁殖して肺炎に進行したりするので注意が必要です。冬は夏に比べて3~4倍発生が多いといわれています。

 高齢者では肺炎に罹患しても症状が乏しく、自分では肺炎に罹患していると感じない時もあり、風邪様症状が続くときは早急に受診しましょう。

 高齢者の細菌性肺炎の起因菌の第1位は肺炎球菌です。それで肺炎球菌ワクチンによる予防が重要となってきています。肺炎球菌には80種類以上の型がありワクチンは全ての型に対応しているわけではなくて、そのうちの23種類に対して免疫をつけることができます。ただし、この23種類が肺炎球菌による肺炎の約80%を占めていますので、その予防効果は十分に期待できます。肺炎球菌に対する抗体価(免疫力の目安)は接種1ヶ月後くらいでピークとなり、以降4年くらいは持続しますが5年目頃に80%程度となり以降は徐々に低下します。

 脾臓摘出手術を受けた方は保険が適応されますが、それ以外の方は原則として自費になります。具体的な費用は個々の医療機関によって異なりますが、おおよそ7000〜10000円くらいです。

 当院でも外来で受け付けていますので、ご希望の方はお申し込み下さい。