渡邉 薫 薬剤師
「広報せきかわ」2010年11月号より
薬の飲み方
薬を飲む時間は、昔から食前、食後という表現で飲む時間を決めていました。本来、薬は一定の血中濃度を維持することで効果が得られるわけなので、食事には関係なく、1日3回なら8時間毎に飲むべきとの意見もありますが、食事を中心に考えることで薬の副作用を軽減させたり、薬の飲み忘れを防ぐための有効な手段であることから、食後としている場合が多いようです。
薬の飲み方で、充分な効果を発揮できない場合や、思わぬ副作用が発現する場合もありますので、指示に従った飲み方を守ることが重要です。
「食前・食直前・食後・食間」服用時間をご存知ですか?
「食間」とは、食事と次の食事との間のことです。前の食事から2~3時間後飲みます。食事の最中ではありません。そのころになると、食べた物が消化され、胃の中の食べ物が少なくなります。食べた物が胃の中にあると吸収が悪くなる薬などはこの時間に飲む必要があります。
それでは、食前・食直前・食後とはいつのことでしょうか。「食前」は食事の30分前以内のことです。胃腸の機能を整えて腹部膨満感や食欲不振、食べた後の吐き気を抑える薬などは食前に飲むと効果があります。「食後」というのは食事が終わってから30分以内までをいいます。飲み薬の中では最も多くみられるタイプです。食べ物といっしょの方が吸収の良くなる薬や痛み止めの薬など、胃が空の時に飲むと胃を荒らす薬などが食後に飲む薬です。「食直前」とは食事を始める前10分以内のことです。糖尿病の薬で、食後の血糖が上がり過ぎるのを抑える薬などがこれに当たります。
薬は水やぬるま湯と一緒に飲んでますか?
カプセル剤と錠剤は、飲みやすさでは大きな違いはありませんが、安全面では違いがあります。錠剤の表面の加工は、それほど水になじみやすい物質を使っていないので、飲み込んでも食道に付着することは稀ですが、カプセルの主成分はゼラチンであるため吸水性がきわめて強く、水なしで飲んだ場合、食道壁の水分を急速に吸収し、その場に付着してしまいます。その付着力は強く、後で水を飲んでもなかなか取れませんので注意が必要です。カプセル剤の場合必ず少し多めの水で飲むのが安全です。薬を安全に飲むには、水やぬるま湯と一緒に飲みましょう。
また、カプセルを開けて中身をだしたり、錠剤を砕いたりする方がいますが、薬の効果が無くなったり、薬の作用が強く現れ、思わぬ副作用が発現する場合もありますので、特に指示ない場合はそのままの形で飲みましょう。