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新井 亜希 医師

「広報せきかわ」2010年6月号より

ゆっくり、じっくり、神経内科

 神経内科は、心の病気ではなく「脳、脊髄、末梢神経、神経筋接合部、筋肉」といった体の部品に不具合が起こる病気を専門領域としています。

 神経内科の病気の難しい点は、「心の病気ではない、身体の病気であるのに、一般的な血液検査やCT検査、MRI検査などでは異常を見つけにくいことも多い」という点です。正しい診断と治療に到達するまでに、多くの時間が必要とされることも珍しいことではありません。

 では、神経内科医はどのように病気を見つけていくのでしょうか。

 まず、「いつ頃から、どのように、どのような症状が生じてきたのか」、「その症状はどのように変化しているのか」、「これまでにどのような病気にかかったことがあるのか」など詳しいお話を伺って、解決の糸口を探します。次に一般的な内科的診察を行い、さらに「神経学的診察」を行います。この「神経学的診察」は、通常の検査などでは見つけることができない「脳、脊髄、末梢神経、神経筋接合部、筋肉の不具合」を見つけるために最も重要な診察です。高次脳機能検査に始まり、12種類の脳神経、運動機能、感覚機能、自律神経機能などを系統立てて診察します。この結果から、「脳、脊髄、末梢神経、神経筋接合部、筋肉」のうち、どの部分に不具合があるのかを推測します。

 そして、「伺ったお話から見つけた解決の糸口」と「診察結果から推測された不具合の内容」を考えて、病気の実態を正確に把握するために「必要な検査」を「適切な内容」で行います。この検査結果によって裏付けが得られると、正しい診断にたどりつき、適切な治療が始められるということになります。

 ですから、「ゆっくり、じっくり、神経内科」なのです。

 神経内科を受診される際には、「いつ頃から、どのように、どのような症状が生じてきたのか」、「その症状はどのように変化しているのか」、「これまでにどのような病気にかかったことがあるのか」などを整理してメモを作っておくと便利です。さらに、治療中の病気をお持ちの方は主治医の情報提供書やお薬手帳を持参されると大変役立ちます。