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浅野 良三 医師

「広報せきかわ」2010年5月号より

高齢者の肺炎(誤嚥性肺炎)

 誤嚥性肺炎は、細菌が唾液や胃液と共に肺に流れ込んで生じる肺炎です。高齢者に多く発症し、再発を繰り返す特徴があります。

 再発を繰り返すと耐性菌が発生して抗生物質治療に抵抗性を持つため、優れた抗生物質が開発された現在でも、多くの高齢者が死亡する原因になっています。

 原因は、脳血管障害、認知症、意識障害、パーキンソン病などで神経伝達物質の欠乏によって、咳反射や嚥下反射の神経活動が低下して起こります。

 咳反射や嚥下反射が低下すると、知らない間に細菌が唾液と共に肺に流れ込み(不顕性誤嚥)、この細菌が肺の中で増殖して誤嚥性肺炎が起こります。また、胃液などの消化液が食物と共に食道を逆流して肺に流れ込み、誤嚥性肺炎が起こることもあります。

 治療は、肺炎の原因となる細菌を殺菌する抗生物質を使用します。また、胃液を肺の中に吸い込んで肺炎になった場合、ステロイドを短期に用いて肺炎を 鎮める場合もあります。

 さらに、酸素欠乏(呼吸不全)になった場合は、酸素吸入を行います。

 再発予防には、脳梗塞後遺症として使われる薬や抗血小板作用を持つ脳梗塞予防薬が有効です。

 これらの薬は咳反射や嚥下反射を改善し、脳梗塞を予防して誤嚥性肺炎を予防します。

 咳反射を亢進させる降圧薬も有効であるという報告もあります。

 また、歯磨きを毎日して口の中の雑菌を減らしたり、食後に一定時間(2時間)座って胃液逆流を防ぐことも 誤嚥性肺炎の予防にとって大切です。

 さらに、高齢者では、歯ぐきをマッサージすると、嚥下反射が改善して誤嚥性肺炎の予防に役立ちます。

 高齢者では、症状が少ない場合もあり、また基礎疾患のため自分で訴えられない場合もあるので、体調に変化のある時は早めに受診し早期発見に努めていただきたいと思います。