「広報あらかわ」 2005年5月号より、「広報せきかわ」 2005年6月号より  
「肺気腫について」
浅野 良三 医師
 たばこは、肺がんなどの発生率をたかめますが、肺気腫も喫煙が大きな原因となります。肺気腫は、ガス交換を行う肺胞が壊れる病気です。
肺胞は、気管支の先にある組織で、酸素と二酸化炭素のガス交換を行っています。
肺気腫は、肺胞と肺胞の間にある仕切りが壊れ、肺胞同士が融合して大きな肺胞になり、ガス交換の効率が悪くなって、体が必要とする酸素を十分に取り入れることができなくなる病気です。

 肺気腫になっても、初期にはほとんど自覚症状がありません。しかし、肺機能が健康なときの半分近くに低下してくると、運動後の息切れ、慢性の咳嗽、喀痰といった症状が現れてきます。ひどくなると、日常生活のちょっとした動作を行っただけでも息切れするようになり、最終的には呼吸不全となり、酸素吸入を行わないと、生活ができなくなります。  

 肺気腫の危険因子には、大気汚染・室内汚染、喘息症状、喫煙、たばこの副流煙(受動喫煙)などがあげられますが、このなかでも最大の危険因子とされているのが、喫煙です。

 肺気腫の診断には、胸のエックス線検査やCT検査で肺の異常を調べます。また呼吸機能検査では、息を吐く最初の1秒間でどのくらいの量を吐き出せるかという1秒量や、息を吐き出す速さ、その後の呼気の変化などを検査します。そして、肺機能が低下していると、体内に取り入れる酸素の量が減るため、血液中の酸素濃度を調べたりします。
一度壊れてしまった肺胞は、元に戻すことができません。そのため治療は、悪化するのをできるだけ防ぐことと、症状を軽減して、生活の質を保つことが基本になります。

 治療では、肺機能をこれ以上悪化させないために禁煙を実行し、同時に気管支を拡張させる効果のある吸入薬を用いて、症状を和らげます。禁煙すれば、多くの場合、その時点で肺機能低下のスピードは緩やかになります。重症で血液中の酸素が足りない場合は、器械などから酸素を取り入れる酸素療法を行います。

 肺気腫の患者さんは、体を動かすと呼吸が苦しいので、どうしても活動が鈍くなりがちですが、酸素消費量をできるだけ抑える呼吸法や、筋力を保つ運動を体得し、できるだけ日常生活の質を高めていきましょう。また、肺機能の悪化を防ぐため、かぜなどをひかないよう、十分注意することも大切です。