ソーランヨー  ヨー  ヨー  ヤーナー
     ハーリャーリャー  ハーリャーリャー  ハーリャ  ヨーイトセー

 おしゃぎりをお旅所のお御輿に向けて、岸見寺の若い衆が「本木遣り」を歌い始めると、おしゃぎりのお囃子も先太鼓も、打つ手を止め て鳴りをひそめる。曳き綱の中、紋付羽織姿で手に幣束をかざした「木遣り上げ」 の衆が、お御輿様に寿ぎの木遣りを奉納する。

 げにや目出度き神代の昔 (げにやめでたき かみよのむかし)
 蜻蛉洲に宮始まりて (あきつしまに みやはじまりて)
 縁起詳しく尋ねて聞けば (えんぎくわしく たずねてきけば)
 言うも愚かや辱なくも (いうもおろかや かたじけなくも)
 天の水罔の御神とかや (あまのみずはの おんかみとかや)
 天の磐船波間に浮かべ (あまのいわふね なみまにうかべ)
 藍の艫綱 桂の舵に (らんのともづな かつらのかじに)
 瑠璃の帆柱 珊瑚の櫓櫂 (るりのほばしら さんごのろかい)
 綾や錦の帆を捲き上げて (あややにしきの ほをまきあげて)
 これの渚へ漕ぎ寄せ給い (これのなぎさへ こぎよせたまい)
 四方の景色を御眺められ (よものけしきを おんながめられ)
 並びあらざるこれ一なりと (ならびあらざる これいちなりと)
 ここに鎮まりましますとかや (ここにしずまり ましますとかや)
 今に残りし一つの岩も (いまにのこりし ひとつのいわも)
 世世に朽ちせぬ御船の形 (よよにくちせぬ みふねのかたち)
 すぐに栄いし所の名をも (すぐにさかいし ところのなをも)
 動ぎ揺るがぬ岩船町の (ゆるぎゆるがぬ いわふねまちの)
 四方のかまどの末広がりて (よものかまどの すえひろがりて)
 四海波風治まる御世は (しかいなみかぜ おさまるみよは)
 枝を鳴らさぬ竹も年栄え (えだをならさぬ たけもとしばえ)

 あたりに響き渡る高音の美声と、磨き上げられた独特の節回し、10年に1人しか出ないとさえ言われる「木遣り上げ」の歌う唄に、取 り囲む若い衆の太い声が重なって、木遣り唄は聴く人々の心に沁み渡る。

「はーよー  そーらんよー」木遣りの最後の声の終わらぬ内に、お囃子と先太鼓がまた打ち鳴らされ、「よーっ」子供たちのハヤす声が 響く中を、若い衆の掛け声とともにおしゃぎりは向きを変える。いくつもの音が重なりあって、その音に合わせて絵が動きだす。岩船祭り の醍醐味が、凝縮したような一瞬を堪能できる場面である。



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