岩船大祭

終わりに
 平成9年の岩船大祭を見たスイス人ジャーナリスト、J・F・ゲリー氏は、11月6日号の週刊新潮に、見開き2ページに大写しにした 先太鼓の写真を掲載し、その写真の下に次のような記事を寄せている。
 「(前略)新潟県村上市、岩船の祭りは歴史が非常に古い。観光客が殆ど行かない、仲間の行事で、街全体が盛り上がる素晴らしい祭り だ。悪魔よけのため、重要な役割を果たす、この先太鼓の、お呪(まじな)いに違いない場面に釘付けにされた。表の世界から完全に消え たマジックは、岩船のような所でまだ生きているのを見て安心した。日本はまだ完全にすてたものじゃない。」
 だけれども、経済的効率が最優先されるこの国の、マジックが完全に消えた表の世界を支配する、合理化という名前の荒波は、確実にそ して速度を早めて、岩船祭りにも押し寄せている。荒波に呑み込まれてお祭りが消えてしまうのか、マジックの錨(いかり)を捨てて波に 漂うのか、もちろん錨を放すことなく、この荒波を乗り越える術を見つけなければならないのだが、舳先に立ち目をこらして捜す船頭にも、 次の澪標はなかなか見つけられない。

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